星宮とと × SOZEN OTSUBO 対談 -Beyond the Binary-
11/19/2024
星宮とと × SOZEN OTSUBO 対談 -Beyond the Binar リリース記念-
新作EP「Beyond the Binary」。アーティスト・星宮ととと、サウンドエンジニア兼クリエイターのSOZEN OTSUBOがタッグを組んだこの作品は、空間オーディオ技術や独特なサウンドメイクで話題を集めています。本記事では、制作秘話やこだわりについて2人に語ってもらいました。
空間オーディオで広がる音の世界
星宮とと: SOZENさん、EP制作、本当にお疲れ様でした! 今回は色々と話を聞いてみたいと思います。よろしくお願いします!
SOZEN OTSUBO: こちらこそ、よろしくお願いします!
星宮とと: SOZENさんとは、「タイムサーフ」のリミックスで知り合い、その後「POP-AID」では「Mind Replacer」の編曲とAtmosミックスを担当していただきましたね。エンジニアとしてのイメージが強いSOZENさんですが、今回一緒に作品を作ってみていかがでしたか?
SOZEN OTSUBO: 僕、元々はクリエイターが本業なんですよ!?(笑)でも、空間オーディオに興味を持ってからエンジニアリングを学び始めて2年くらい経ちます。今回その技術を活かし、自分の作品に昇華できたのは本当に嬉しいですね。
星宮とと: 今回のEP、全曲が空間オーディオに対応しているんですよね。SOZENさんはかなり前からこの技術に取り組んでいますが、きっかけは何だったんですか?
SOZEN OTSUBO: Appleが空間オーディオを本格導入したタイミングで、個人でも制作できるソフトが色々出てきたんです。その頃、VRやMRに興味を持ち始めていて、音響の面でもこの技術を使うのは自然な流れでした。それからDolby Atmosの勉強を始めて、今に至ります。
ヘッドホンだけで作るAtmosミックスの挑戦
星宮とと: Atmosの制作ってスピーカーがたくさん必要なイメージがあるんですけど、SOZENさんの環境はどうなんですか?
SOZEN OTSUBO: 通常は7.1.4ch以上のスピーカー環境が必要ですが、僕はヘッドホンだけでミックスしています。もちろん試行錯誤しながらですが、ソフトウェアの進化には本当に助けられています。
星宮とと: 僕の知り合いで同じくAtmosをやっているPhiltz(フィルツ)のオオウチアラタくんも、「ヘッドホンでこれはすごい」って絶賛していましたよ!
SOZEN OTSUBO: それは嬉しいです!オオウチさんとはその後も情報交換させてもらっています。空間オーディオはApple MusicとAirPodsさえあれば簡単に体験できるので、ぜひ多くの人に聴いてほしいですね。
「Beyond the Binary」に込めた想い
星宮とととSOZEN OTSUBOが語るEP「Beyond the Binary」には、音楽シーンの今とこれからに対する深い考察が込められています。派手でジャンキーな音楽が主流の中、2人は一歩引いた視点で「本当に今必要な音楽とは何か」を問い直しました。
星宮とと: 「Beyond the Binary」を制作するにあたり、SOZENさんとは最初に“目新しく、美しく、そして心地よい音楽を作ろう”と話しました。今の時代、ショート動画や簡単に消費できるコンテンツが主流で、派手でアンチテーゼ的な音楽が目立ちます。でも、それは行きすぎると耳を壊したり、表現としても行き詰まりが来るような気がして。次はもっと繊細で心地よい音楽が求められる時代が来るんじゃないかと感じています。
実は僕自身、中域難聴になってしまい、大きな音を聴くことが辛くなったんです。だからこそ、派手さを追求するよりも、ひとりで家でゆっくり聴けるような音楽を届けたいと思いました。このEPは、そんな“繊細な心地よさ”を追求した作品なんです。
SOZEN OTSUBO: そうですね。このEPは、自分自身と向き合う時間に寄り添えるような音楽を目指しました。最近は「曲が短いほうが聴かれる」なんて言われますが、僕たちはその流れに抗いたいという気持ちもありました。とはいえ、リスナーの集中力が途切れないようにするためには、EPというフォーマットが最適だと思っています。短すぎず、長すぎない、ちょうどいい“満足感”を感じてもらえる量でまとめたんです。
さらにタイトルには、デジタルの最小単位である「0と1」という二元的な考えを超えて、もっと繊細で多様な世界に目を向けようという意味を込めました。「僕たちは単純な0と1の世界ではなく、もっと豊かで複雑な世界で生きている」ーーそれを忘れないようにしたかったんです。
星宮とと: SOZENさんと一緒に作るなら、10年後、20年後も「これ、いいね」って言ってもらえる作品になると確信しています。正直、全然売れ線ではないんだけど、目新しく、美しくて心地のいい音で、自分たちとしては本当に納得のいく作品なんです。だから、いろんな人に聴いてもらいたい!最初は「なんだこれ?」って思われても、「あんまりこういう曲聴いたことないけど、なんか、好きかも?」っていずれなってもらえたら嬉しいです。
SOZEN OTSUBO:「Beyond the Binary」は、流行に左右されるのではなく、自分たちが本当に作りたい音楽を形にした結果です。この作品を聴くことで、リスナーにも“自分と向き合う時間”を届けられたら嬉しいです。
収録曲の聴きどころ
SOZEN OTSUBO: 各曲に個性的な仕掛けが詰まっています。特に注目してほしいのは以下のポイントです。
- 01. Beyond the Binary
今作の最後に制作した曲で、EP全体の集大成とも言える一曲。未来への幕開けを象徴しています。
- 02. Hi-fi
20曲ほど試作した中で最初に採用された楽曲。Beyond the Binaryという二面性を表す目的で、メインはTOTONEE、コーラスに星宮ととを起用しました。 - 03. Origami Angels (feat. N33T)
ゲストボーカルとしてN33Tさんを迎え、作詞、2番のメロ、歌唱を手がけてもらいました。あえてサブ宮とと的な立ち位置で入れています。すごく複雑な作り方ですね(笑) - 04. Kioku
実はこの曲のトラックは、この企画よりも前に作っていたものなんです。試しにととさんに歌ってもらったらすごくマッチしたので、個人的に一番実現したかった曲になりました。そして、僕が初めてちゃんと作詞をした曲でもあります。 - 05. Shade
最短期間で仕上げた楽曲です。ShadeとKiokuで「無いとすれば色くらい」という歌詞が使われています。それに限らず、EP全体で互いの曲をサンプリングし合って作っているので、まとまりのある仕上がりになっていると思います。
星宮とと: 曲順通りに聴いていくと、シームレスに流れるのが本当にすごいです!BPMやキーが違うのに繋がっているのが魔法みたいでした。まるで色々な場所へ旅をしていく短編映画のような感じがします!
SOZEN OTSUBO: 実験的な要素とポップスを適度に混ぜて、ポップス再定義を目指した第一弾です。ぜひ多くの人に聴いてもらいたいですね。
星宮とと: アートワークを担当してくれたTAMURA Ikuhoさんについても色々とお話したいところですが、今回はこれで対談を終わりにしたいと思います。第2弾も考えていますので、お楽しみに!
次回作もお楽しみに!
星宮とと: 今回は制作秘話をたくさん語りましたが、次回作の構想もすでに考えております!
SOZEN OTSUBO: はい!さらに進化した作品をお届けできるよう、引き続き頑張ります。「Beyond the Binary」は本日2024/11/20デジタル配信が開始!ディスクユニオンでの店舗販売や、オンラインショップでCD購入可能です!
11月23日にはMVも公開予定。
星宮とと: 僕らの新たな挑戦、ぜひお聴きください!
CD通販サイト → https://hoshimiyatoto.stores.jp/
ディスクユニオン → https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008948939
各種配信サイト → https://toto.soumaotsubo.com/BtB